お知らせ
近い将来、人間の仕事がAIにとって代わられる未来が来るという。野村総合研究所がオックスフォード大学のマイケル A.オズボーン教授らと行った共同研究によると、2030年にかけて日本の労働人口の実に49%が就いている仕事が、人工知能やロボット等で代替可能になるのだという。
現在、その波は確実に物流業界にも押し寄せている。古くは自動倉庫に始まり、最近はオートストア、自動搬送ロボット、自動運転フォークリフトなど、自動化が著しく進化している。現段階では、これらのロボットは人の生産性を最大化させるものである。例えば、自動搬送ロボットが荷物を持っていく先には、加工を行う人が待っているし、自動フォークリフトが運ぶ荷物の積み込み作業は依然として人が行っている。
私見だが、これらのロボットの優位点は、休まず働き続けられることであり、同じ作業を飽きずに同じ工程を踏み同じ質で作業できる点にあるのではないだろうか。一方で人はどうかというと、ロボットに比べれば疲労を感じてスピードや質が落ちることがあるし、ミスも発生させる。加えて夜になれば家に帰るし、燃費だって多分劣っている。ロボットの行う作業は確実に計算できるし、間違いのない足し算になっていく。しかしながら、依然として人にしかできない仕事があると思う。それは、複数人の力が合わさったときに足し算ではなく掛け算になって広がっていくことである。コミュニケーションを土台として、周囲に波及効果を発揮していく人間の力は、やはり当分の間高い価値を保有するのではないかと思う。
しばしば、【 AIやロボットに代替される仕事ランキング 】といった記事を目にすることがある。その中に必ずあるのが「トラックドライバー」であるが、これは本当だろうか。本当であれば、ドライバー不足が深刻になりつつある昨今なので大変ありがたい話だが、ドライバー職は先端で顧客と直接やり取りをする第1線の営業担当でもある。そのことを理解しているアナリストがどれだけいるのか。記事を見て、ドライバーに未来は無いな、と判断する人が少なからずいるのではないかと心配になってしまう。ドライバー職は大切な荷物と思いをつなぎ、作った人と使う人との間をつなぐエッセンシャルワーカーだと確信している。だからこそ、こういった記事が言葉足らずで誤解を招かないようにしてほしいと強く願う。
マーケティング本部 櫻井正悟