コラム
海外から商品を仕入れる際、商品価格や輸送費用だけで採算を計算していませんか?
輸入時には「関税」と「消費税」が必ず発生し、これらを正しく把握せずに商談を進めると、想定利益を大きく下回るリスクがあります
特に、これから輸入を始める企業や担当者にとっては、関税・消費税・HSコード・原産地証明・EPA/FTAといった用語が分かりにくく、後回しになりがちです。
本記事では、通関業者である丸山運送が輸入時にかかる税金の基本と、見積・商談段階で確認しておきたいポイントをわかりやすく解説します。
Contents
輸入時にかかる主な税金(関税・消費税)とは
輸入時に代表的に発生する税金は、「関税」と「消費税」です。
輸入コストを算出する際は、商品代金・運賃だけでなく、この2つの税金を含めた「総額」で採算を評価する必要があります。
関税
海外から輸入される貨物に対して課される税金です。 税率はすべて一律ではなく、品目(HSコード)ごとに異なります。そのため、同じ輸入でも、商品によって税額は大きく変わります。
消費税
国内取引と同様に輸入品にも課税されます。 輸入時の消費税は、一般的に商品価格だけではなく、商品価格に関税などを加えた「課税価格」をもとに計算されます。
関税・消費税を計算に入れない場合の4つのリスク
購入先との商談時に、商品単価や運賃だけを見て採算を判断してしまうと、輸入後に次のようなトラブルにつながります。
1.利益率が想定より下がる
仕入コストに税金を反映していないと、実際の原価が上がり、想定していた利益率を確保できなくなります。
2.販売価格の見直しが必要になる
輸入後に税負担が判明すると、販売価格の再設定が必要になる場合があります。
しかし、すでに見積提示や販売条件を提示した後では、価格修正が難しいケースもあります。
3.継続取引の判断がぶれる
初回取引では成立しても、実際には利益が出ず、継続的な仕入れが難しくなることがあります。
特に継続購入を前提とした商材では、初期段階で税コストを正しく把握しておくことが重要です。
4.社内稟議や予算計画にずれが出る
管理部門や経営層に提示する収支計画と、実際の支出額に差が出ると、社内調整の負担も大きくなります。
関税額はどのように決まる?
関税額は、主に以下の要素で決まります。
- 輸入する商品の種類
- 課税価格
- 適用される関税率
- 原産国
- 貿易協定の適用有無
ここで重要になるのが、どの商品にどの税率が適用されるかを特定することです。
その判断の基準となるのが、次に説明する「 HSコード」です。
HSコードとは何か
HSコードとは、世界共通のルールに基づいて商品を分類するためのコードです。
正式には「商品の名称及び分類についての統一システム」に基づく品目分類で、輸出入実務では非常に重要な役割を持ちます。
HSコードが重要な理由
HSコードによって、以下が決まります。
- どの関税率が適用されるか
- 輸入規制や許認可の対象かどうか
- 貿易統計上どの品目に分類されるか
- EPA/FTAの優遇対象かどうかの確認
注意点
同じように見える商品でも、材質、用途、加工状態によってHSコードが変わることがあります。
HSコードの判定を誤ると、税額の見込み違いだけでなく、通関トラブルの原因にもなります。
そのため、自己判断だけで進めず、通関業者や専門家に事前確認することが大切です。
関税を削減する「EPA/FTA」と「原産地証明」
輸入時の関税は、EPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)の対象となる場合、通常より低い税率、あるいは「無税」となることがあります。
代表的なメリット
- 関税負担を軽減できる
- 仕入コストを抑えられる
- 販売価格や利益率の設計がしやすくなる
しかし、協定の優遇税率を適用するには、商品が協定国で作られたことを証明する「原産地証明(特定原産地証明書)」が必須です。
なぜ原産地証明が必要なのか
税関は、優遇税率を適用する根拠がなければ、通常の関税率で課税します。
つまり、原産地証明が適切に準備されていないと、本来受けられるはずの優遇措置を受けられない可能性があります。
優遇措置に関するトラブルを避けるために、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 輸出者や製造者に事前確認する
- 協定ごとに必要書類や記載要件が異なる
- 書類不備があると優遇税率が適用されない場合がある
商談時に確認しておきたい5つのチェックポイント
輸入コストの見落としを防ぐためには、購入先との商談段階で次の点を確認しておくことが重要です。
1.商品情報を具体的に把握する
- 材質
- 用途
- 加工内容
- 商品名
- 型番
これらの情報が曖昧だと、HSコードの確認が難しくなります。
2.原産国を確認する
製造国と出荷国が異なる場合もあるため、どの国を原産国として扱うかを確認する必要があります。
3.インコタームズを確認する
FOB、CIF、DAPなど、どこまでの費用を売主が負担するかによって、総コストの見え方が変わります。
4.関税優遇の対象か確認する
EPA/FTAの対象か、原産地証明を取得できるかを、商談の早い段階で確認しておくと、コスト試算の精度が高まります。
5.通関業者に事前相談する
税率や必要書類は、商材によって大きく異なります。
見積段階で通関業者に相談しておくと、後からのコストずれを防ぎやすくなります。
まとめ
輸入時にかかる関税や消費税は、商品代金とは別に発生する重要なコストです。
これを商談段階で十分に織り込んでいないと、利益率の悪化や価格設計の見直し、継続取引の採算悪化につながる可能性があります。
特に押さえておきたいポイントは、次の通りです。
- 輸入時には関税と消費税がかかる
- 税額はHSコードや原産国、課税価格などで決まる
- EPA/FTAにより関税優遇を受けられる場合がある
- 優遇措置には原産地証明などの条件が必要
- 商談段階で税金を含めた総コストを確認することが重要
輸入業務では、価格交渉だけでなく、「税金・通関・原産地ルール」まで含めてコスト設計することが、安定した取引の第一歩です。
輸入ビジネスの始め方、コスト設計にお悩みや不安がありましたら丸山運送へお気軽にご相談ください。
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