お知らせ
今回は我々通関・保税・NVOCC業者として各種税関手続きに無くてはならない輸出入・港湾関連システム、通称“NACCS”について振り返ってみたいと思います。
NACCS(NIPPON AUTOMATED CARGO AND PORT CONSOLIDATED SYSTEM) とは入出港する船舶・航空機及び関連する民間業務をオンラインで処理するシステムで、現在では税関に於ける輸出入手続きの99%がNACCSによって処理されています。
AIRは1978年、SEAは1991年の第1次から約8年毎に更改が行われ、2010年の第5次でAIRとSEAの共用、農水省の動物検疫、植物防疫、厚労省の食品届、国交省の港湾EDI、経産省の外為法手続きなどとのシングルウィンドウが実現しNACCSに窓口が一元化されました。
次期NACCSに移行する際は我々利用者も移行テストをフェーズ毎に実施し毎回緊張するのですが、更改の度に我々利用者の要望に応えて頂き、その進化に驚くばかりです。
2017年更改の現行第6次ではデータ容量の拡大、原産地証明や関税割当に係るデータ処理など大幅な電子化・ペーパーレス化が進みました。
更に2020年には政府発表の経済財政運営と改革の基本方針を踏まえ、ほとんどの書類の押印等が廃止となり、以前に比べると税関に行く事自体が非常に少なくなりました。
働き方の多様化として通関業者も在宅勤務が選択肢の一つとなり、これまでのように税関で同業者や税関職員と顔を合わす事も少なくなり、少し寂しい気もしますがこれも時代の変遷と受け止める必要があるのでしょう。
そして2025年の第7次更改では更なる利便性が図られる事となり、予想でしかありませんがモバイル端末での入出力だったり、ブロックチェーン技術を活用した貿易におけるデジタルプラットフォームとの連携などが検討されているのかも知れません。
通関士としては申告書類のチェックをどうしても紙で行いたいという人は多いと思いますが、それも画面上で行わなければならなくなる日がもうすぐそこまでやってきている事実をそろそろ認めなければと思っています。
というか、貿易に関係する業界全体で電子データを共有する事となると、チェックそのものの概念が変わり、数年後には昔は申告書類やNACCSに入力した申告書を都度チェックしていたんだよと笑い話になるのかもしれません。
国際物流本部 甲斐 愛一朗