株式会社丸山運送|Maruyama the 080
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物流コラムVol.35 「経済連携協定発効への変遷 (下)」

1995年に設立されたWTOは自由・無差別・多角的通商体制を基本原則とし、物品貿易だけでなく金融、情報通信、知的財産権やサービス貿易も含めた包括的な国際通商ルールを協議する場となっており、役割としては主に加盟国の交渉・監視・紛争解決です。

加盟国は2016年のアフガニスタン加盟を最後に現在164か国、中国は2001年に加盟を果たし経済のグローバル化で急速な経済発展を遂げ、ロシアは実質的な関税引き下げを受け入れ2012年に加入しております。他に24か国が申請中、北朝鮮を含む13か国が非加盟国となっております。

これまでの交渉としては2001年に初めてカタールのドーハで新ラウンドが開始されましたが、先進国と新興国との対立などから各国間の交渉分野をめぐる対立構図が解けないまま何度も最終合意に失敗しており、2013年に採択されたバリ合意もインドの反対で採択出来ない状況などが続きました。

WTOで新たにルールを決める為には加盟国全ての合意が必要となっており、このような状況が足枷となり各国間での経済連携協定締結が次々に発行される背景となっておりますが、このような経済連携協定はGATTの理念だった最恵国待遇の例外になるものです。

近年では米中貿易摩擦における一方的な制裁関税や輸出規制がWTOの定める国際貿易ルールに反していると結論付けながらも役割の一つである紛争解決に導けずにおり、これは第二審に当たる上級委員会のメンバーを確定出来ていないという加盟国の足並みの乱れにもよるものです。

少し前のアメリカや現在のロシアがWTO脱退を示唆し、逆にWTO加盟国がロシアに対し基本原則の一つである最恵国待遇を撤回するなど、WTOは既に基本原則による役割を全う出来ずに機能不全に陥っていると言っても過言ではありません。

平和の番人と言われる国連も決定のプロセスについては同様ですが、自由貿易の番人と言われるWTOは改革が必要な時期になってきております。

自給率が低い為にグローバル経済がベースになっている我々日本人としては、極力WTOの原則内での貿易の継続を願う所ですが、ここまで加盟国の利害が複雑に絡み合うと一筋縄ではいかないだろうと思われます。

実際これまでロシアに輸出出来ていたものが出来なくなっており、都度の確認が必要な状況です。更に個別の経済連携協定が発効されると実行関税率表のページが増えていく事になってしまい、そういった通関業務の観点からもWTOにはその役割を遂行して欲しいと願っております。

 

国際物流本部 甲斐 愛一朗

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