輸送物流 宮城 【株式会社丸山運送】

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実務で使える!インコタームズ主要4条件の完全理解ガイド

貿易実務において、インコタームズ(Incoterms)は取引の「費用負担」と「リスク移転(責任の範囲)」を明確にする極めて重要な国際ルールです。

しかし、11種類ある条件をすべて網羅しようとすると理解が追いつかないケースが多々あります。

そこで今回は、実務で圧倒的に使用頻度が高い「EXW」「FOB」「CIF」「DDP」の4条件を、イタリアからの「輸入編(トマト缶)」と、シンガポールへの「輸出編(高級鯖缶)」の2つの具体的なシナリオを通じて、事例解説します。

 

 ① 輸入編:イタリア産トマト缶の輸入

【内容】

  • 貨物:トマト缶(20フィート・ドライコンテナ 1本)
  • 輸出者(売り手):EX社(イタリア・ナポリ)
  • 輸入者(買い手):IM社(日本・仙台)
  • 最終配送先:宮城県仙台市宮城野区港4-1-2 丸山運送 倉庫

 

【大まかな輸送ルート】

ナポリのEX社工場 ──(陸上輸送)── ナポリ港 ──(海上輸送)── 仙台港 ──(陸上輸送)──丸山運送

 

 1. EXW(Ex Works / 工場渡し条件)の場合

EXW:「買い手(輸入者)手配で売り手(輸出者)の工場から商品を引き取る」買い手負担の最も大きい条件

 

概要:EX社(イタリア)は、自社工場でトマト缶を準備するだけで任務完了です。そこから先のすべての手配と費用、リスクはIM社(日本)が負います。

実務での動き:

EX社(売り手):ナポリの自社工場でトマト缶を段ボールに詰め、パレットに乗せて接車された海上コンテナに荷物を積みます。輸出通関手続きは行いません。

IM社(買い手):イタリアの現地フォワーダー(利用運送事業者)を手配し、EX社の工場からトラックで集荷します。イタリアからの輸出通関、船の手配、海上運賃、仙台港到着後の輸入通関、そして最終目的地である「丸山運送」までの国内配送費をすべてIM社が支払い、手配します。

リスクの分岐点:EX社の工場で貨物を引き渡した瞬間(トラックに積み込む前)に、すべてのリスクがIM社に移転します。

 

 2. FOB(Free on Board / 本船渡し条件)の場合

「輸出国の港で船に乗せるまでが売り手負担、そこからは買い手負担」の、輸入でよく利用される条件

 

概要:イタリア国内の手配はEX社に任せ、海を渡る部分からはIM社がコントロールする、最も一般的な条件の一つです。

実務での動き:

EX社(売り手):ナポリの工場からナポリ港までの陸上輸送を手配し、イタリアの輸出通関を済ませ、ナポリ港で手配された船の甲板(オンボード)にトマト缶を乗せるまでの費用と責任を負います。

IM社(買い手):ナポリ港から仙台港までの船を手配し海上運賃を支払い(運賃後払い:Freight Collect)します。仙台港に到着してからの輸入通関と、丸山運送までのドレージ(コンテナ陸送)手配・費用を負担します。

リスクの分岐点:ナポリ港で船の甲板に貨物が「置かれた」瞬間に、リスクはEX社からIM社に移ります。

 

 3. CIF(Cost, Insurance and Freight / 運賃・保険料込み条件)の場合

「輸入国の港に届くまでの費用と保険は売り手持ち、ただしリスクは輸出国から輸入国へ移転」する条件

 

概要:海上運賃や保険料を「商品代金に込み」にしてもらう条件です。

実務での動き:

EX社(売り手):ナポリからの輸出通関だけでなく、仙台港までの船の手配、海上運賃、さらに海上保険料までを負担(運賃元払い:Freight Prepaid)します。

IM社(買い手):コンテナが仙台港に到着した後の、日本側での輸入通関、および仙台港から丸山運送までの陸上輸送費・手配を負担します。

リスクの分岐点:ここが勘違いしやすいポイントです。 費用は「仙台港到着」までEX社が払いますが、損害リスクは「ナポリ港で船に乗せた瞬間」にIM社に移転しています。そのため、航海中にコンテナが塩水を被ってトマト缶が台無しになった場合、事故処理や保険金請求を行うのはIM社になります(保険契約自体はEX社がIM社のために締結して渡してくれます)。

 

4. DDP(Delivered Duty Paid / 関税込み持ち込み渡し条件)の場合

「買い手は指定場所で待つだけ」の輸出者負担が最も大きい条件

 

概要:EX社が、日本の丸山運送の倉庫に届けるまでの「すべて」の手配、費用、税金を負担します。

実務での動き:

EX社(売り手):ナポリからの輸出、海上輸送、日本(仙台港)での輸入通関手続き、日本国内で発生する関税・消費税の支払い、そして丸山運送までの国内配送まで、すべての費用と手配を完了させます。

IM社(買い手):丸山運送の倉庫で、到着したコンテナからトマト缶を荷下ろしして受け取るだけです。

リスクの分岐点:丸山運送の倉庫で、荷下ろしができる状態(トラックの荷台の上)で貨物が引き渡された段階で、ようやくリスクがIM社に移転します。

 

 ② 輸出編:国産高級鯖缶の輸出

【内容】

  • 貨物:高級鯖缶(20フィート・ドライコンテナ 1本)
  • 輸出者(売り手):K社(日本・仙台市 / 発送元:丸山運送)
  • 輸入者(買い手):Y社(シンガポール)
  • 集荷場所:宮城県仙台市宮城野区港4-1-2 丸山運送 倉庫
  • 仕向地(配送先):シンガポール国内のY社指定場所

 

【大まかな輸送ルート】

丸山運送 ──(陸上輸送)── 仙台港 ──(海上輸送)── シンガポール港 ──(陸上輸送)── Y社指定場所

 

 1. EXW(Ex Works / 工場渡し条件)の場合

「Y社(買い手)手配の車両が仙台の丸山運送まで鯖缶を引き取りに来る」条件

 

概要:国内取引とほぼ変わらない感覚で輸出ができる、売り手にとって最も負担の少ない条件です。

実務での動き:

K社(売り手):丸山運送の倉庫で、20フィートコンテナに詰められる状態(あるいはパレット梱包された状態)で鯖缶を積み込むだけです。

Y社(買い手):日本国内のフォワーダー(利用運送事業者)を通じて丸山運送にトラックを手配し集荷します。仙台港における日本からの輸出通関、船の手配、シンガポールまでの海上運賃、現地の手続きすべてをY社が手配・負担します。

リスクの分岐点:丸山運送の倉庫で貨物をY社側のトラックに引き渡す時点で、不測の事態(破損など)に対する責任はすべてY社に移ります。

 

 2. FOB(Free on Board / 本船渡し条件)の場合

「仙台港で船に乗せるまでがK社(売り手)の責任」となる、輸出でよく利用される条件

 

概要:日本の国内輸送と通関はK社が行い、国際輸送はY社がコントロールする、実務で非常によく使われる条件です。

実務での動き:

K社(売り手):丸山運送から仙台港までのドレージを手配し、日本での輸出通関を済ませ、仙台港でY社が指定した船の甲板にコンテナを乗せるまでの費用を負担します。

Y社(買い手):仙台港からシンガポールまでの海上運賃を支払い、船スペースを確保します。シンガポール到着後の輸入手続きや、現地での配送手配を行います。

リスクの分岐点:仙台港で船の甲板にコンテナが乗った瞬間に、リスクはY社に移ります。

 

3. CIF(Cost, Insurance and Freight / 運賃・保険料込み条件)の場合

「シンガポール港に届くまでの船・保険はK社(売り手)が手配、ただしリスクは仙台港でY社(買い手)に移転する」条件

 

概要:K社が船のスペース確保や保険引き受けを行い、そのコストを鯖缶の販売価格に上乗せして請求するプランです。

実務での動き:

K社(売り手):丸山運送からの陸送、輸出通関、シンガポール港までの船の手配と海上運賃支払い、さらに航海中の海上保険手配を行います。

Y社(買い手):シンガポール港に到着した後の輸入通関、関税等の支払い、および港から自社指定場所までの陸上輸送を行います。

リスクの分岐点:費用と保険はK社がシンガポール港までカバーしますが、リスク自体は「仙台港で船にコンテナを乗せた時点」でY社に移転しています。

もし太平洋上で事故があっても、K社に損害賠償を求めることはできず、Y社が保険金を請求することになります。

 

4. DDP(Delivered Duty Paid / 関税込み持ち込み渡し条件)の場合

「Y社(買い手)の指定する倉庫の前まで、K社(売り手)がすべての責任を持って届ける」条件

 

概要:Y社にとっては国内で仕入れるのと全く同じ手軽さですが、K社にとっては最も労力とリスクが高い条件です。

実務での動き:

K社(売り手):丸山運送からの発送、日本側通関、海上運賃、海上保険、シンガポールでの輸入通関、現地で発生するGoods and Services Tax (GST / 消費税) や関税の支払い、さらにはシンガポール港からY社指定場所までの陸上配送まで、すべての手配と支払いをK社側のネットワークで行います。

Y社(買い手):自社の指定場所で、到着したトラックから高級鯖缶を荷下ろしして受け取るだけです。

リスクの分岐点:シンガポールのY社指定場所にトラックが到着し、荷下ろしが可能な状態で引き渡された時点で、ようやくすべてのリスクがY社に移ります。

 

 まとめ:実務における選択のヒント

これらの条件をどう使い分けるべきかの基準を整理します。

1.コントロール権の確保:

自社でフォワーダー(利用運送事業者)と強いパイプがあり、ボリュームディスカウント(スケールメリット)による運賃交渉ができる場合は、自社主導で手配する条件(輸入ならFOB、輸出ならCIF)を選ぶことで、物流コストを抑えてマージンを確保できます。

2.リスク管理:

輸送国現地のインフラや治安、通関事情が不透明な場合、自社側の責任範囲が極力小さくなる条件(輸入ならCIF/FOB、輸出ならFOB/EXW)を選ぶのが安全です。DDPは、現地の税制や通関トラブルのリスクをすべて背負うため、現地パートナーの協力体制を強固に構築しておく必要があります。

 

まずはこの主要4パターンを頭に入れておくだけで、日々の見積もり比較やリードタイム予測、トラブル発生時の責任の所在確認が非常にスムーズになります。

 

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