お知らせ
2020年度の国の税収が過去最高の60.8兆円だったと財務省より発表がありました。
コロナ禍においてGDPは前年比4.6%減となったにも関わらず、正にK字型の景気変動の様相を呈しており二極化が鮮明になっております。
ではこの税収に関し我々通関業者が輸入者に代わり日々税関に申告している関税の割合と推移について改めて考えて見ました。
我々の本社がある仙台港では今ではコンテナでの輸出入が主流ですが、コンテナ船の入港が開始したばかりの30年前と比較してみたいと思います。

歳入における国の税収総額は30年前も60兆円で変わりませんが、内訳は大きく異なっておりまして、法人税と所得税は相対的に割合を下げ、変わりに消費税の割合が大きくなっております。
輸入品に対する税関の収納額は30年前の3兆円から9兆円と大きく上昇しておりますが、そのほとんどが輸入消費税でして、関税自体は30年前から約1兆円で変化がありません。輸入額が30年間で3倍弱になっている事を考慮すると税収としてはかなり減ってきております。
関税は過去においては国家財政の重要な位置づけでしたが、現状では国内産業の保護が主たる役割と変わりつつあると言えます。
一方で経済のグローバル化が進む事により各国間のバイ・マルチ協定が次々と発行され、日本でも既に24か国・地域と21の経済連携協定 (EPA/FTA)が発行・署名されました。それにより関税の即時または段階的な撤廃が行われ、各分野でボーダレス化が急速に進んでおります。
我々通関業者は輸入者に代わり適正な関税納付を行う事が使命である事に変わりはありませんが、今後国防の観点からは社会悪物品の輸入を阻止し、グローバル経済の観点からは貿易の円滑化に資す事が求められてくると考えます。
税収に比べ国家予算は100兆円を超えており、国民一人一人の借金は増える一方ですので、現状の税制で税収を増やすためには所得税と法人税の割合を増やしていく事が求められます。
しかし少子高齢化が止まらず働く人が減る事で所得税は頭打ち、法人税はグローバル化が進むことにより、現状はコロナ禍で少し停滞し、また国際的な課税ルールが議論されてきておりますが、税率が低い国に企業が移る流れに歯止めを掛けないと税収の増加は見込めません。
現状の税制においては、やはり消費税が合理的な税収である基幹税という事になるのであれば、これからも消費税は上がり続ける一方でしょうか。
国際物流本部 甲斐 愛一朗